木綿往生
世界的なコロナ禍の真っただ中。
家で過ごす時間がぐっと増えました。
後回しにしていた片付けや掃除、いつもはしないレシピのお料理。
家仕事に勤しんでいる方も多いことでしょう。
クローゼットの整理をしていて、フリマアプリで売るのも難しいような服、出てきませんでしたか?
使い古した布巾やタオル、ありませんか?
そのまま捨てないで下さい。
それはまだ、布としての一生を全うできていません。
「木綿往生」は、倉敷民芸館の初代館長を務めた外村吉之介が提唱した言葉です。
かつて木綿織物は、私たちの一生に常に寄り添っていました。
生まれたての赤ん坊の産着として、おしめとして。
日常着として、手拭いや布巾といった道具として。
時には裂かれて紐状になって、裂き織りとしてまた身に纏ったり。
最後は雑巾として身の回りを美しく整えてくれ、ボロボロになってその生涯を終える。
その様を「木綿往生」と讃えたのです。
ものをしっかり使い切ること。
物質的に豊かな現代、おろそかになっていると感じます。
いろいろと不安の多い日々。時間だけはあるという方、たくさんいるはず。
着なくなったTシャツやスウェット、くたびれてきたバスタオル。
そのまま捨てずチョキチョキ切って、雑巾にしましょう。
気に入っていたものなら尚更、感謝の気持ちを込めて。
キッチンの油汚れや、洗面所やお風呂場のちょっとした汚れ。
床に何かこぼしてしまった時、サッと拭いてポイ。
台布巾で拭くのはためらわれるような汚れにじゃんじゃん使って下さい。
百均に行けば3枚100円なんかで雑巾も売っていますが、新しい布を雑巾として使うこと、私はとても違和感があります。
ティッシュやキッチンペーパーを使い捨てるのも罪悪感を伴います。
そんな違和感や罪悪感を少しでも減らしながら生活したいと思っています。
時間がある今だからこそ、できること。いろいろあります。
くさらずに生きましょう。