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2019-11-23

まだ知らないものが好き

先日、細野晴臣さんの音楽活動50年を記念した映画「NO SMOKING」を観ました。

細野さんはとっても軽やかで、自由で、ユーモラスで、かわいくて、かっこよくて。何をしてても品がいい。
音楽的にも唯一無二の存在なんだけど、ご本人はそんな周囲の評価もどこ吹く風。
ただただ自由で、楽しいことだけをしてる。

ずーーーっと楽しく観たんですけど、印象的だったのが、終盤インタビューに答えているところ。

問:どんな映画が好きですか?
「まだ観てない映画が好き。観ると全部がっかりしちゃうから」
問:最近はどんな音楽を聴いてますか?
「まだ聴いてない音楽が好き」

文章にするとイヤな感じ?かもしれませんが、細野さんが朗らかに答えるとまったくもって嫌味じゃないし、もちろんかっこつけてるわけでも全然ないし、ユーモラス。
それでいて確信的。ご本人は思ったことそのまま言っただけなんでしょうが。

もうひとつ考えさせられたのが、これまた終盤。
スタンダードナンバーのカバーやコピーはたくさんあるけど、すべてつまらない。
だけど何十年も前のオリジナルはいつ聴いてもワクワクする。
そこには決定的な違いがある。今の人には決定的に足りない何かがある。
そんなようなことを仰せでした。

それは本当にその通り!と実感を持って思ったけど、その「足りない何か」が私はハッキリとはわからない。
細野さんはたぶん、ご自身の中に明確な答えがありそうでした。
教えて欲しいけど、教えてもらうもんじゃないような。

そしてそれって音楽だけの話じゃないなぁと。

手仕事の世界にも決定的に感じることだったりします。
たぶん、古いものとか手仕事が好きな人なら頷いてくれるのでは?

でも、だからって今のものすべてを否定はしないし、私は希望を持ちたい。
今のものにも「いいな」と思うことはたくさんあるし。
一方で、比較した時「かなわないな」と思うことも多いけれど。

手仕事や文化が好きでそれに関わっていく以上は、「足りない何か」を探り続けるしかないよなぁと、映画を観終えて思ったのでした。

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