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2023-06-19

仕入日記:白鴉再生硝子器製作所

昨夏、沖縄に行った際に実はもう1軒作り手の元を訪ねておりました。
それが今回ご紹介する、白鴉再生硝子器製作所です。

東京出身で一度は会社員をしていたという作り手の鈴木紳司さん。
「これからは中国が来る」と言われはじめていた頃で、中国の大学へ行き、中国系のIT企業に就職します。
忙殺されること3年半・・・かなり無茶な働き方を強いられる中「これは何か違う」と感じたのだそう。
そんな時に頭に浮かんだのが、原風景ともいえる幼少期の体験でした。

鈴木さんのお母様は沖縄の出身です。ある年の夏休み、共働きで多忙を極めたご両親が頼ったのが、沖縄のご実家。
当時小学生の鈴木さんは1ヵ月ほどを沖縄の祖父母の元で過ごすことになります。
その時に連れていってもらったのが、琉球ガラスの工房でした。
溶かされてドロドロと柔らかくなったものが、キラキラしたガラスの器になる。
子ども心に「かっこいい!」と感動し、その時の思いがずっと残っていたそうです。

一念発起して会社を辞めて沖縄に移り、ガラスに関わるために最初に入ったのは、体験工房。
すんなり入社はできたものの、自分のやりたいこととは違う気がして門戸を叩いたのが、ガラス工房 清天でした。
親方の松田清春さんはとてもオープンな方で、やりたい人にはウェルカムだし、独立も応援してくれたそうです。
(ガラス工房 清天を訪ねたブログはこちら

修業を経て2018年にうるま市に工房を構え、普段使いのガラスを作り続けておられます。
工房の名前にある通り、琉球ガラスらしく再生ガラスを使ってのもの作り。
泡盛や焼酎、窓ガラスなどが、美しいガラスのうつわに生まれ変わります。
ぽってりと厚みがあるので安心感のある使い心地で、グラスの口当たりも良いですよ。

モールの入った「レデューサーグラス」は、その名の通りレデューサー(配管などに使われる金具)をそのまま型にして吹いています。
手に馴染む良い形。店主も気に入ってよく使っています。

鈴木さんのお話を伺って、年齢的に近い世代の店主としては共感できることも多かったし、時代も感じました。
学生の時は就職活動をして一流企業に入ることが正しいことだと思い込まされていたけど、自分は違った、と。
当時は今ほどネット環境も整っておらず情報も少なかった分、そう思い込むのも無理はないですよね。
店主も正にそんな感じで(鈴木さんは中国の大学に行くくらいなので相当優秀だと思いますが・・・)最初はとりあえず就活して就職しました。
良い会社だったと今も思ってますが、自分の生き方を思うと違和感があって辞めたのでした。

それと幼少期に出会うモノ・コトの重要性も改めて考えさせられましたね。
小学生の時のあの夏休みがなかったら、鈴木さんは今頃何をしていたのでしょう?
人生って面白いですね。

さて、そんな白鴉再生硝子器製作所の品々、現在糸島の実店舗でご覧頂けます。
昨夏お願いして、届くのを心待ちにしておりました!
夏本番を前にぜひ、覗きにいらして下さいね。

ONLINE SHOPにお出しするのは少し先になります。ご了承下さいませ。

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