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2021-07-04

仕入日記:移転直後の風見窯へ

男ノ子焼の里で作陶されていた風見窯の杉田さん。
いろいろあって八女市内で工房を移転されたとのことで、まだ展示場の整理も終わらない中をお邪魔してきました。

住所を頼りに車で向かうも、途中からすれ違えない道に入ったりしてちょっと不安になってきて・・・こっち?ほんとに?と思ったところに杉田さんの姿が見えて、ホッ。合ってた。

以前の工房に使っていた木材や、いつか使えるかも?と思い保管していた材料などなど、工夫しながら作り上げたという工房は、杉田さんらしくこざっぱりとして整理整頓されていました。
空間を有効に使うための工夫も至るところに。この自作の収納、見れば見るほどすごい!

ひとりで全ての工程を行うので、作業効率も考慮して。一番下の板は可動式!

今回はたまたま窯出しの直後だったので、運良く人気の皿など仕入れることができました。
相変わらず美しい青瓷。つい見入ってしまいます。

それから、白釉が以前と違う表情に変わっていました。
粉雪のような白さを出したかったけれど、藁灰だとそうはならなかったそう。それがある時、青瓷に使う松の灰を樟(くすのき)の灰に変えたところ、白くなってビックリ。しかも、粉雪のようなサラリとしたマットな仕上がりで、これだ!と思ったのだとか。
藁灰も良いけれど、材料費が高くつため継続的に使用するのは難しいとも感じていたそうで、そんな中でのこの偶然の発見は正に渡りに船でした。

福岡には今も天然100%の樟脳を作っているところがあり、そちらから灰を分けて頂いたことがきっかけだそう。
あるところでは廃棄物になるものが、別の場所ではものづくりの材料になるという訳です。
杉田さんはやきものを作っていながら、陶磁器が土に還らないという環境問題を抱えていることも気にしてしまうような方なので、そんな杉田さんだからこそ引き寄せたご縁なのかもしれません。
やきものに限らず、世界のいろんなことが、このような良い循環を見つけられたら良いのに。

この白釉は焼成温度が上がると青瓷になります。
それが窺い知れる、白と青瓷の中間のような絶妙な焼き具合の品も今回仕入れてますので、ぜひショップをご覧になってみて下さい。

ついつい話し込んで、一番日が長い季節だというのに傾いてきてしまいました。
分からないことは調べないと気が済まないという勉強熱心な杉田さんなので、店主の質問にもポンポン言葉が返ってきて、つい店主もどんどん聞いてしまうんですよね。
このまま日田に向かう予定もあったので、いい加減にお暇することに。

最後に新しい工房で1枚。元気をもらう笑顔です。

なんとか暗くなる前に日田入り。
店主は夜の運転が嫌いなので、間に合ってひと安心なのでした。

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