陶器と磁器、その取り扱い方
うつわ好きには何を今更、という話ですが、意外と気にしたことがない、知らないという人も多い陶器と磁器の違い。
その基本的な取り扱いについてご紹介します。
陶器と磁器は、そもそも原料となる土が違います。
そのため性質が異なりますので、取り扱い方も異なります。
ただ、どちらも急熱急冷に弱いというのは同じです。
【陶器】
陶土(粘土)が原料なので土物とも言われます。
900~1200度ほどの低温で焼成され、吸水性があり、光は通しません。たたくと鈍い音がします。
強度は磁器に比べて劣りますが、土物ならではの素朴さやあたたかみがあります。
はじめて使う前には“目止め”をすると、汚れやにおいがつきにくく、丈夫になると言われています。
生地の粒子の隙間や貫入を埋めて、汚れが入りにくくするという方法です。
1. 米のとぎ汁(なければ小麦粉を水に溶かす)を鍋にはる。陶器がかぶるくらい。
2. 15~20分ほど弱火にかける。
3. 火を止めたらそのまま自然に冷ます。
4. 冷めたら洗って自然乾燥させる。
もし面倒であれば、たっぷりの水に一晩浸けたり、水からことこと20~30分煮てあげるだけでも違います(冷ます時は自然に冷ましましょう。急冷はNG!)。
料亭などでは毎回使う前に水に浸け、少しでも美しく保つようにしているそうですよ。
なお、目止めをしても、完全にずっと汚れを防げるわけではありません。
育てるような気持ちで、経年変化も楽しみながらお使い下さいね。
基本的にはオーブン・直火はNGです。
耐火温度が高い土だったりすると上記に当てはまらない場合もありますが、その際には必ず記載があります。
電子レンジは多少使って頂いても大丈夫ですが使いすぎると疲労が蓄積されるので、大事に長く使いたいなら控えめに。
食洗器は、中でガチャガチャ当たらないように入れれば案外問題なく使える、というお声が多数。
洗った後はよく乾かしてから収納して下さい。カビの原因になります。
【磁器】
長石や石英など鉱物を粉砕した粉からつくる磁土が原料なので、石物とも言われます。
1200~1400度ほどの高温で焼成され、吸水性がなく、光は通します。
たたくと金属のような硬い音がします。
陶器よりも丈夫で汚れにくく、取り扱いは比較的楽かもしれません。
目止めは不要です。
基本的に電子レンジは使えますが、金彩のものなど一部使用不可のものがあります。
食器洗浄機も使えなくはないですが、場合によっては破損の原因になりますのであまりお勧めはしません。お使いになる時は、うつわ同士がぶつからないよう、入れ過ぎにご注意下さい。
直火は基本的にNGです。
オーブン使用も特に記載がない限りはNGです。
以上、簡単ではありますが陶器と磁器の違い、取り扱いについてご紹介しました。
陶器も磁器も様々な産地がありますが、そもそも、その原料となる石や土があったから、そこが産地になったという歴史があります。
現在は仕入れた原料で作る産地も多いので分かりにくくはなりましたが、色や柄だけでなく、土に注目して陶磁器を眺めるのも面白いものですよ。