toggle
2025-11-30

仕入日記:庄内竹細工「たけんなか舎」

久しぶりの仕入日記は、以前からお取り扱いのある大分県由布市の庄内竹細工について。
「たけんなか舎」の武田さんとは、お取引をさせて頂くにあたりご挨拶はさせて頂いていたのですが、スケジュール的に展示会にお邪魔する形になり、その後工房には伺えておりませんでした。

かつて竹細工をしていた方の古民家を引き継いだ、武田さんの工房
「ズラシ」と呼ばれる長尺の竹を通せる穴が開いています

今年の冬が来る前に伺いたいな~と考えていた先月、なんと武田さんから「今日お店に行きます!」とのご連絡。
遥々日帰りという弾丸日程で糸島のマルクトスコレーまで来てくださったのです。
これは店主も早く訪ねなければ、ということで行って来ました、由布。

きちんと手入れされている棚田があちこちに

過去ブログにも度々書いている通り、運転は未だに下手なので無理はせず1泊。
そのお陰で丸々1日しっかりと見たり話したり、することができました。

廃校となった小学校の廊下は、長尺の竹を扱うのに最適

せっかくなのでと武田さんがまず案内してくださったのは、地域で竹細工をする方々などが集う”おおつる交流センター”。
廃校になった小学校の校舎を再活用する形で運営されています。
武田さんはご自身の工房で仕事をされていますが、作業がしやすいという理由で自宅から工房をこちらに移した方もいらっしゃるそうで、この日も数名の方がおられました。
国内では竹細工の作り手の数が激減しているということを、忘れてしまうようなところです。

ところ狭しと古い籠笊などが並ぶ。処分すると聞くとつい回収してしまうのだそう

中には貴重な古い竹細工が山積みになった工房で編んでいる方も。
大きな籠は漁師さんに頼まれたとのことで、初めて作るものなので途中でやり直したり試行錯誤しながら作られているとのことでした。
昔は沢山作られていたものでも技術が途絶えている場合も多いので、分からない時は蒐集した古い籠などからヒントを得て手を動かしてみる、それしかないのでしょう。

かつての小学校だけあって、窓が大きく眺めも抜群
竹細工の材料と共に干し柿が

色々とお話を伺っていたらあっという間にお昼。
武田さんと近くで食事を済ませ、いよいよ「たけんなか舎」の工房へと伺います。

下の家でも以前は竹細工をしていたので「ズラシ」があるのが見える

由布の里山は標高が高いので目線の先に山々があり、糸島の自然とはまったく違って不思議な感覚でした。
ただ間違いなく言えるのは、本当に美しく豊かなところだということ。
自然と人の営みが同居していて、どの棚田もきちんと手がかけられているし、点在する祠やお地蔵さんには新しい榊や花が活けられていました。
こういう場所だからこそ、暮らしの道具として現役の竹細工が今も作れるのかもしれません。

ここではかつて家族3人で竹細工の仕事をしていたので、3人が座れる作りになっています

武田さんは長野のご出身ですが竹細工を学ぶためにここに来ました。
大分は真竹がよく育つことに加えて有名な温泉地(別府・湯布院など)も多く、土産物需要などから竹細工が盛んな地域。
別府には竹工芸訓練センターもあり、技術継承、次世代育成の環境も整っています。
そのためチャレンジもしやすく、武田さんもだから大分を選んだのだそう。
中でも庄内は、別府を中心に盛んな白竹のみならず青竹細工が今なお息づいている地域です。

地域の方々や師匠である阿部功一さん達が協力して建ててくれたという保管小屋

日々黙々とひとりで仕事をしていると息が詰まることもありますし、まだまだ分からないことも多い、そんな中で地域に竹細工の先輩や仲間がいてくれるというのは、とても心強いことです。
実際に武田さんも、何か困ったら先輩を頼ったり交流センターに行ってみたりするのだそう。
材料調達についても、自分ひとりだけで採取しようとしてもそう簡単ではありません。
竹細工に限らず、こうした手仕事における共同体の強さというものを示しているように思います。

さて武田さんの編んでいるところを本当は撮りたかったのですが、ついつい話に熱が入って止まらなくなり、気が付いたら日が傾きはじめていました。
喋り過ぎた気もしましたが、武田さんとしても民藝館展の振り返りをいろいろ言語化して落とし込めて良かった、とのことなので、良しとします。

猫に慣れていない店主の膝に度々乗ろうとして、最後は外に出された武田さんちの猫。ごめんね

いろいろ見た中で「こういうの良いですよね」という店主に「ですよね」と武田さんが同意してくださることも多かった気がして、話したことも含めて価値観のすり合わせができたような。
何しろこれからの武田さんのもの作りも楽しみだな、と思えた1日でした。

「たけんなか舎」武田優希さんのアイテムはこちらをご覧ください。

ところどころにある里山らしい景色
廃校の階段からの眺め
かつて図書館だった部屋は、今は地域の子供が遊べる場所に

タグ:
関連記事