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2020-12-07

仕入日記:うるしぬりたしろ

「うるしぬりたしろ」の田代淳さんは、岩手県盛岡市在住。
お椀や皿、箸などの漆工品を制作すると共に、漆継ぎ(金継ぎ)教室を各地で開催しています。
その漆継ぎ教室に店主も通っていました。

一般的には「金継ぎ」ですが、淳さんは敢えて「漆継ぎ」と呼びます。
なぜなら、金を使うのは最後の最後、仕上げのみ。金ではなくて銀や錫で仕上げる場合などは、そもそも使いません。
では割れたうつわを何がくっつけているかって?「漆」がくっつけているのです。

今は金継ぎブームとも言うべき状況で、混ぜものを使った簡易金継ぎなどもよく耳にしますが、淳さんはあくまで漆継ぎにこだわります。
金継ぎを施すことがデザインだ、とわざと割って金継ぎするなんて話も聞きますが、「そういうのは好きじゃない」と淳さんははっきり言います。
店主はそういう淳さんの考え方が好きです。

そう、あくまでも金継ぎは修復であって、使える道具をわざわざ壊してまですることではありません。
気に入って使っているうつわが欠けたり割れたりした時に、自分で直してもっと長く使えたら良い、そう思って店主は淳さんの教室に通いました。

淳さんから漆継ぎを習って以来、うつわが割れたり欠けたりした時のショックがかなり軽減されました。
この欠けは何で仕上げようかな、焼錫かな、と逆にワクワクしてしまうこともあるくらい。
(でも絶対にわざとぶつけたり割ったりはしません!)

教室では漆継ぎの手順に加え、淳さんから漆の話を聞けるのも楽しみでした。
何せ関東出身なのに、漆に魅了されて東北に移り住んでしまった人です。
本当に漆が好きなのが様々なお話から伝わってきて、いつかお店を開いたら、淳さんのものが扱えたらいいなと思ったのです。

初めての仕入れはブローチと手鏡。
漆を少しでも身近に感じてほしいとの思いで制作されているものです。
本当なら盛岡に伺いたかったですが、こんなご時世なのでそれは断念。
世の中が落ち着いたら、工房へ伺ってその様子などお伝えできたらなと思います。

以前こちらのブログにも書きましたが、日本人は縄文の頃から漆を使ってきました。
しかし現在、日々漆工品を使っている日本人がどれだけいるでしょうか。

プラスチック容器の氾濫で食卓から相当な漆工品が消えたと思いますが、使い比べればその差は歴然です。
騙されたと思ってぜひ漆の品を使ってみて頂きたいものです。
ちなみに店主が今メインで使っているお椀は、淳さんの溜漆のシンプルなお椀です。
4~5年使い続けて、徐々に艶が増してきています。

淳さんのお椀やお箸もいずれはお願いする予定ですが、何しろお一人でされている工房です。
気長に楽しみに、お待ち頂けたらと思います。
まずは日々連れ出せるブローチと手鏡から。
漆椀など初めての方は扱いに不安もあるかもしれませんが(実際はそんなに難しく考えなくて大丈夫)、こちらはそんな方にもぴったりなアイテムですよ。

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