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2021-09-15

仕入日記:大日窯の作業風景

ありがたいことに、大日窯をお好きな方が当店のことを見つけてくれて、ボチボチ在庫が減ってきたのでまた仕入に行くことができました。
こうして伺えるのもあと数ヶ月(廃業が決まっています)なので、今回は作業風景も見せて頂きました。

あと数ヶ月内にはなくなるであろうこの風景。さみしい・・・
でも廃業の一番の決め手となった地盤の問題が、目に見える形であちこちに。このヒビ、年々広がっているそうです。
気持ちだけでは解決できないですねさすがに。現実って厳しい。

本来であれば昨年で廃業だったのですが、昨年の内に注文を受けたものが終わらずまだ仕事を続けてらっしゃいます。
あまりお待たせするのも申し訳ない、と、日々励んでおられるのですが、数日前の窯出しでは思わぬ失敗があったとのこと。
下の画像の通り、釉薬が流れてしまってほとんどダメだったそうで、「またやり直しだと思うとショックでショックで・・・」と落ち込んでおられました。

原因ははっきりしないそうですが、今年は雨が多かったので湿気と関係しているのでは?とのこと。素焼きの加減を変えないといけなかったのかもしれない、と。
気候変動がこんな影響を及ぼすとは、驚きですね。
そもそも素焼きの際、火がなかなか点かずに苦労されたよう。そんなこともこれまでなかったことで、困り果てて知人の窯業学校の元教師の方に助けてもらったのだそうです。

大日窯の魅力は、シンプルな気取らない形、自然由来の原料によるあたたかみのある色味、おおらかで素朴な絵付け。
その絵付けはすべて久保さんの手によるものです。
せっかくなので絵付けをするところも見せて頂きました。

お話をしながらサクサク描いていく久保さん。
この日は赤絵をされていました。赤絵を施す品はまず呉須の絵付けをして一度焼き、それから描いていきます。
途中、筆に多く含ませ過ぎたようで釉薬が流れてしまったのですが「赤絵は失敗しても拭けるから良いんですよ~」と。

こうして幾つもの工程を経て1点1点描いていって、焼いてみてダメになっていたら、それはショックですよね・・・
それにしても久保さんの筆捌きは本当に見事。いつまでも見ていられる感じでしたが、いつまでも見ていたらご迷惑なので切りの良いところまでにしました。
動画をinstagramのハイライトに残してますので、ぜひご覧になってみて下さい。

最近窯業学校の学生をインターンで受け入れたそうなのですが、轆轤(絵付けの画像で机にある、蕎麦猪口が載っている小さい丸い台)に乗せて真っ直ぐ線を引くことも出来なかったそう。
やっぱり一朝一夕で出来る技術ではないということなのでしょう。

「こっちも仕事があるとはいえ、せっかく来てくれた学生さんに掃除とか雑用させるだけで良いのかどうか、困ってるんですよ」と笑う久保さん。
どうやら数ある窯元から大日窯を選んで来た学生なのだそうで、断るつもりが断り切れなかったと。
ありそうでない大日窯の素朴な絵付け、受け継いでくれたりして!?と勝手に期待してしまう店主なのでした。

ちなみに久保さん自身あまり大きな声ではおっしゃいませんが、この技術を誰かに受け継ぎたいお気持ちが少しおありのようで。
「教えて欲しいと言われればいくらでも教えるんですけどねぇ」と。
実際に教えを乞うことになれば色々条件なども出てくるでしょうが、手遅れになる前に誰か、手を挙げる人いませんかー?
作り手ではない立場の勝手な意見とは分かっていながら、それでも無くなって欲しくない風情のうつわです。

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