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2020-03-28

仕入日記:柴田徳商店

私が住んでいる福岡には、日本三大八幡といわれる筥崎八幡宮があります。
博多三大祭りである放生会(博多では「ほうじょうえ」ではなく「ほうじょうや」と読みます)が、毎年盛大に開催されます。

そんな筥崎八幡宮の門前町である馬出(まいだし)に、博多曲物をつくる柴田徳商店があります。
博多曲物の由来は応神天皇(古墳時代。日本書紀の記述によるもので、実在したかどうかは定かではありません)の頃まで遡るというから驚きです。
江戸時代には庶民にも広まり、馬出には何軒も博多曲物の店が連なっていたそうですが、今の馬出には柴田徳商店しかありません。

出来たばかりの弁当箱などが収納されている棚の扉を開くと、ふわりと杉の香り。癒されます。
白木の弁当箱やお櫃は、適度に水分を吸収しながら湿度を保ってくれるので、時間が経ってもご飯が美味しいのです。
杉の抗菌作用で傷みにくいのも嬉しい特性のひとつ。
何よりもその美しい木目と、白木の優しい手触りに心が和みます。

日々のお手入れは意外と簡単。

・洗剤を使わず、ぬるま湯で洗う。
・浸け置きしない。
・清潔な布巾で拭いて、しっかり乾燥させる(乾燥機NG!)。
・風通しのいいところで保管する。

米粒などがこびりついてしまった時は10分ほどぬるま湯でふやかして、濡らした布巾で拭い取りましょう。
それから、白木をしっかり乾かすには丸1日必要と言われます。
毎日使いたいなら、2個持っておいて交互に使うのが理想です。

最後に肝心なのは、経年変化を楽しむこと。
白木ですし毎日使えば多少の染みや汚れも出てきます。
気にせずそれも楽みながら、たくさん使って下さい。
使い込んだ道具ほど美しいものはありません。

柴田徳商店の博多曲物は、そのお手頃なお値段も魅力のひとつです。
職人技が光る白木の曲線。丁寧に美しく綴じられた山桜。
こちらでは九州の杉を使っていますが、目立たない部分に小さな節があったりします。
材料を選ぶ際に少しだけ幅を持たせることで、気軽に使えるこのお値段が実現します。
日常使いしてほしいという、作り手の思いの現れです。
真っすぐ揃った木目も美しいですが、ちょっと節があったりするのも私は好きです。

福岡市の無形文化財に指定されていた先代・柴田徳五郎氏。
今は六代目・柴田淑子さんが跡を継がれています。
一度は引退された職人さんに戻ってきてもらい、何とか伝統を繋いでいる状況とのこと。
時代の流れでしょうか、あらゆる手仕事の現場に後継者問題が重くのしかかっています。

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